脂肪肝
脂肪肝とは、脂肪が肝臓に過剰にたまって、肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態です。日本人における軽度の脂肪肝は、いわゆる肥満体型ではない見た目がスリムな人にもみられます。
脂肪肝は、アルコールが原因のアルコール性脂肪肝とそれ以外の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)に分けられます。NAFLDは、さらに単純な脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分けられます。NASHは進行すると、肝硬変や肝臓がんを発症するリスクが高まりますので、脂肪肝と診断されたら医療機関での診療を受けましょう。
B型肝炎
B型肝炎ウイルス(HBV)は、血液や体液を介して感染します。感染経路として、輸血、注射針の使い回し、性交渉などです。B型肝炎に感染している母親から新生児への感染は、ワクチン接種により現在ほとんどありません。
成人でHBVに感染すると急性肝炎を発症し、だるさ、食欲不振、吐き気、黄疸が出現します。なかには激しい肝炎を起こして生命を維持できない劇症肝炎になることもあります。重症化しない場合には、数週間で肝炎はピークを過ぎて回復過程に入ります。
幼少期のHBV感染ではHBVキャリア(保有者)となり、その中から、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんに進行する方がいます。成人のHBV感染でも一部慢性肝炎に進行するため、適切な治療が必要です。
C型肝炎
C型肝炎ウイルス(HCV)は、血液を介して感染します。感染すると約70%が慢性化して、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんに進行していきます。現在わが国の感染者の多くは、HCVが発見される前の輸血や血液製剤、あるいは注射針の使い回しなどで感染したものと考えられています。現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありませんが、ピアスや入れ墨、覚せい剤などの回し打ち、あるいは不衛生な状態での鍼治療などが原因となっています。一方、性交渉による感染や母親から新生児への感染はごくまれとされています。
アルコール性肝障害
アルコール性肝障害は、アルコールを常習的に飲んでいる人に発症します。日頃から飲酒量の多い人は、肝臓に脂肪が蓄積され炎症を起こすことがあります。このような方が大量飲酒すると、重症のアルコール性肝障害を発症し、命に関わる重篤な状態になることがあります。また、治療せず放置すると肝硬変や肝細胞がんに進展する場合もあります。
肝硬変
肝臓に慢性的に炎症が起こり、肝細胞の破壊と再生が繰り返されると徐々に線維化(肝臓にかさぶたの様な物質ができる)が起こり、肝臓本来の細胞の構造が破壊されていき、肝硬変になります。肝硬変の原因は、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、アルコール、非アルコール性脂肪性肝炎等が挙げられます。
肝硬変が進行すると、肝臓がんが発生したり、最終的には肝不全(肝臓の機能が大きく低下し、役割を果たせなくなる状態)となり、死に至る場合があります。症状として、食欲不振、だるさ、貧血、皮下出血、黄疸、腹水、浮腫が出現したり、肝性脳症という意識障害を起こすことがあります。また、食道や胃などの静脈が腫れてこぶのようになります(食道・胃静脈瘤)。この静脈瘤が破裂すると、大量の吐血や下血が起こることがあります。静脈瘤破裂は時に致命的となるので、定期的な内視鏡検査を受けることも大切です。
肝臓がん
肝臓がんは、原発性肝臓がん(肝臓に出現したがん)と転移性肝臓がん(多臓器のがんが肝臓に転移したがん)があります。原発性肝臓がんは、さらに肝細胞がんと肝内胆管がんに分けられ、ほとんどが肝細胞がんです。肝細胞がんの場合、肝硬変や慢性肝炎が元々あって発生してきます。その原因として、C型肝炎とB型肝炎が多いのですが、アルコール性肝障害や脂肪肝に起因する肝細胞がんも増えています。
がんが小型の場合特に症状はなく偶然に発見されますが、進行した場合には、黄疸、おなかが張った感じなどを訴える人もいます。肝臓の外へ突き出して大きくなった場合、がんが破裂することがあり、腹痛や血圧低下を起こします。